八十路を迎えた身で、こんなに考えさせられる本に出会うとは思いませんでした。福音館書店の編集者による絵本論ですが、これは単なる児童文学の解説ではない。人間にとって本当に必要なものは何か、という根本的な問いかけが随所に感じられます。 自営業で長年商売をしてきた経験から言えば、商品にも人間にも「本質」というものがある。著者はその絵本の本質を、何十年もかけて追い求めてきたのだろう。その誠実さが文章から伝わってきます。 子どもたちのために作られるべき絵本とは何か、その思想の一貫性に感銘を受けました。孫たちにどんな本を読ませるかで迷ったことのある身としては、確かな指針を得た気がします。話題の本というより、時代を超えて価値を持つ一冊だと感じます。 最後の「すべての人の必読書」という帯の言葉も、決して大げさではないと思います。年を重ねてからこそ、余計にその重要性が見えてくるような、良い本との出会いでした。