読書メモの本棚
生のみ生のままで 上

生のみ生のままで 上

綿矢 りさ 集英社 2019年6月26日

綿矢りさの新作とあって、さっそく手に取ってみました。80歳になると、こうした最新の話題作がどんなものか、やはり気になるものです。 女性同士の恋愛を描いた作品というのは、今の文学界でも話題性が高いようですね。この作品も、そうした現代的なテーマを扱いながら、人間関係の微妙な心理描写が実に丁寧です。初対面での違和感から、やがて深まっていく二人の関係性を追うことで、読者は自然と物語に引き込まれていく。綿矢りさの筆力はやはり確かなものです。 長年、商売をやってきた経験からすると、人と人の関係というのはいつでも複雑で予測不可能なものです。この小説もそうした人間の本質的な部分に切り込んでいるように感じます。若い読者ばかりでなく、人生経験を積んだ世代にも十分に読み応えがある作品だと思いますね。上巻ということで、下巻も楽しみにしているところです。