penの本棚
感想

正直に申し上げると、派手な帯の謳い文句に若干の警戒心を持ちながら手に取った一冊でした。「予想を全て裏切る」という触れ込みは、往々にして期待値を上げすぎてしまうものですから。しかし、その不安は杞憂に終わりました。 本書の秀逸な点は、単なるどんでん返しに頼らず、登場人物の心理描写の奥深さで読者を引き込んでいく点です。監禁という絶望的な状況下で、主人公アレックスが何を考え、何を企てるのか。その過程が緻密に、時に痛切に描かれています。中盤までは予測できない展開の連続で、寝る時間を忘れてしまいました。 ただし、一点だけ留保があります。後半の急展開は、人によっては唐突に感じるかもしれません。心理的な説得力を求める方は、多少の違和感を覚える可能性があります。 それでも、会社での疲労が溜まった夜間に、一気読みできるページターナーとしての力強さは確実です。会社員として時間に制限がある身ですが、その中でも徹夜する価値のある傑作だと感じました。