慎重に選書する私ですが、このミステリー小説は本当に正解でした。各賞を総なめにした理由が納得できます。 元探偵・成瀬将虎というキャラクターの魅力がまず素晴らしい。「何でもやってやろう屋」という自称に、彼の人間味のある柔軟性が現れています。霊感商法という現代的なテーマから始まる物語が、予想外の方向へ展開していく緊張感に引き込まれました。 特に感心したのは、複数の登場人物と事件が緻密に絡み合い、ラスト近くで全てが繋がる快感です。会社員生活で疲れた脳を活性化してくれるような、知的興奮が味わえます。何度も読み返したくなるというのは誇大広告ではなく、本当にその通り。登場人物たちの行動の意味が、読み直すたびに新しい光を放ちます。 39歳になると、ミステリーの細部への注目力が違うのか、若い頃より深く楽しめている気がします。長編ですが一気読みさせる力がある傑作です。迷っている方には、自信を持ってお勧めします。