直木賞受賞作ということで期待して読み始めたのですが、正直なところ「可もなく不可もない」というのが率直な感想です。 便利屋という設定は面白く、主人公の多田と行天というコンビの掛け合いには確かに魅力があります。日常のありふれた依頼が、読み進めると思わぬ展開へ向かっていく仕掛けも工夫されているなと感じました。ただ、全体を通して読むと、各エピソードが独立した短編の集まりという印象が強く、物語として一本の軸がしっかり通っていないように感じてしまいました。 会社員として日々忙しく過ごしている身としては、週末にゆったり読める小説を求めることが多いのですが、この作品は軽いタッチながらもどこか引っかかるものがあり、素直に没入しきれませんでした。キャラクターの魅力で読ませている部分が大きいので、登場人物の関係性をより深く掘り下げた続編があれば、評価も変わるかもしれません。 ベストセラーだからこそ手に取った作品ですが、万人向けというわけではないのだろうと感じます。