感想
このたび、多くの書評で評判が高かったこの作品を手に取ってみました。最初は銀行強盗という物騒なテーマに躊躇しましたが、蓋を開けてみると、思いのほか楽しく読み進められました。 四人の登場人物たちが、それぞれ異なる特殊な才能を持っているという設定が秀逸です。嘘を見抜く力、スリの技術、演説の才能、そして正確な体内時計。こうした個性的なキャラクターが活躍する様子を読んでいると、自分もその場にいるような臨場感が生まれます。 何より驚いたのは、予想を裏切る展開の連続です。銀行強盗が成功するはずが、次々と思わぬ事態が起こる。そうした緊迫した流れの中でも、登場人物たちの会話には人間らしい温もりがあり、暗くなりすぎません。年を重ねた私にとって、こうしたバランス感覚は非常に好ましく感じました。 文庫本という手軽なサイズも良いですね。何度か手に取ってはページをめくりたくなる、そんな魅力を持った作品です。著者のほかの著作も気になってきました。