感想
話題の名作ということで期待を込めて読みましたが、正直なところ思ったほどではありませんでした。 兄弟の絆と罪の問題を扱うテーマ自体は確かに重要です。ただ、構成が少々単調に感じられて、進学、恋愛、就職という人生の各段階で同じパターンの葛藤が繰り返される点が、かえって話を散漫にしているような印象を持ちました。弟の視点に寄せすぎているせいか、兄の人物像が薄く、獄中からの手紙の内容ももっと掘り下げてほしかった。 加害者家族という難しいテーマに正面から向き合おうとする姿勢は評価できますが、描写の深さや人間関係の複雑さという点で、もう一段階の工夫が欲しかったです。自営業をしていると同世代の作品との比較もしてしまいますが、似たテーマを扱った他の作品の方が、より繊細な心理描写があったと思います。 長年多くの人に読み継がれている理由は理解できますが、現代を生きる私たちにとって、この作品がどこまで響くのかは疑問が残りました。