読書三昧の本棚
死にがいを求めて生きているの

死にがいを求めて生きているの

朝井リョウ 中央公論新社 2022年10月21日

朝井リョウの新作は、ほんとうに手放せませんでした。 平成という時代を生きた若者たちの、あの息苦しさ。「誰とも比べなくていい」と言われながら、どうしようもなく他者と比較してしまう心理。自営業で長く仕事をしていると、そういった葛藤がどれだけ人を蝕むか、痛いほどわかります。 植物状態の智也と彼を見守る雄介という一見シンプルな関係から、次々と登場人物の人生が絡み合っていく構成が素晴らしい。看護士、転校生、大学生、中年ディレクター——それぞれの「生きづらさ」が静かに、しかし確実に共鳴していく。 何度も立ち止まって考えさせられました。特に中年ディレクターのくだりは、自分たちの世代にも深く響くものがあります。時代に取り残されるということの絶望感、そしてそれでも祈り続けることの意味。 文庫本という手軽さでこれだけの深さが手に入るのは稀です。話題の本として目にしていましたが、期待以上でした。いますぐ友人にも勧めたい一冊です。