話題の『マチネの終わりに』をようやく文庫で手に取りました。四十代という人生の転機で出会った二人の切実な恋を軸に、芸術、家族、グローバリズムなど現代的なテーマが見事に織り込まれていて、単なる恋愛小説ではないところが素晴らしい。 天才ギタリストとジャーナリストという異なる世界に生きる二人が、わずか三度の出会いでこれほど深く愛し合うというシチュエーション。最初は少し唐突に感じるかもしれませんが、読み進むにつれ、その切なさが身に沁みてきます。自営業の私も人生経験を積む中で感じるものがあり、共感することが多くありました。 平野啓一郎の緻密な表現力と、構成の巧みさには本当に感服します。最終ページへ向かうにつれて、予想外の展開が待っており、読み終わった時の余韻がいつまでも残ります。 最近の話題作の中でも特に評判だったのが納得できる、上質な読書体験でした。じっくり味わえる一冊として、同年代の女性にもぜひおすすめしたいです。