近藤の本棚
コンビニ兄弟 -テンダネス門司港こがね村店ー

コンビニ兄弟 -テンダネス門司港こがね村店ー

町田 そのこ 新潮社 2020年7月29日

仕事帰りに立ち寄ったコンビニで、ふと「こういう場所って実はドラマがあるんだろうな」と考えたことがありませんか。この本はその想像を形にしてくれました。 九州のコンビニを舞台にした設定が、最初は少し限定的だなと感じましたが、読み進むにつれてその親密さが魅力だと気づきました。志波三彦という店長のキャラクターが秀逸で、何とも言えない不思議な魅力を持った人物として丁寧に描かれています。エンジニアの仕事をしていると、ついロジックで物事を判断してしまいますが、この本は「人間関係って予測不可能でいいんだ」と改めて感じさせてくれます。 各章ごとに異なる常連客の悩みや人生が掘り下げられていく構成も素晴らしい。短編の連作という形式だからこそ、時間がない時でも気軽に読めるのも実務的な視点としてポイント高いです。 ただ、一部の話運びに少し無理がある章もあり、完璧とは言えませんが、温かさと人間らしさが詰まった作品です。仕事でしんどい時こそ、こういう本に救われるんだと実感しました。