感想
綿矢りさの新作ということで、期待値高めで手に取りました。女性同士の恋愛を描いた作品は近年増えていますが、本作がどのような切り口を提示するのか興味がありました。 読んでみた感想としては、描写の鮮烈さは確かに魅力的です。二人の関係性の変化や身体的な接近が丁寧に描かれており、その部分の文学性は高いと感じます。ただ、ストーリー全体としての推進力や、登場人物たちの内面的葛藤の深掘りという点では、少し物足りなさが残りました。 エンジニアという職業柄、論理的な構成を求めてしまう癖があるのですが、キャラクターの行動動機や関係性の展開がやや唐突に感じられた場面もあります。「上」ということで続編があるのでしょうが、この巻単体では完結度が低く、判断を保留せざるを得ません。 綿矢りさの実力は疑いようもありませんが、本作に限っては及第点といったところ。続きを読むか検討中です。