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三代御記 全現代語訳

三代御記 全現代語訳

倉本 一宏 講談社 2026年2月12日

平安時代の天皇たちが自分の手で書き記した日記を、現代語訳で読めるというのは面白い企画だと思いました。特に醍醐天皇と村上天皇の時代は「延喜・天暦の治」と呼ばれた良好な統治時代らしいので、その当事者たちが何を考え、何を記していたのかを直接知られるのは貴重です。 政治的な決定や儀式の記録だけでなく、愛猫の消息なんて日常の些細なことも書かれていたというのが何とも人間らしくて、千年以上前の話とは思えず親近感が湧きます。歴史の教科書では数行で済まされる時代が、こうして実際の言葉で迫ってくると、その時代の空気感が自分の中で立ち上ってくるような感覚があります。 古記録学の最新研究に基づいているということで、断片化した資料からよくここまで復元できたものだと感心しました。気軽に歴史を学びたい自分にとっては、丁寧な現代語訳のおかげで難しすぎることなく読み進められたのがよかった。平安貴族社会への興味も一層深まりました。