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夜明けのハントレス

夜明けのハントレス

河崎 秋子 文藝春秋 2026年2月20日

感想

最近、狩猟という世界に惹かれていく女子大学生の話だと知って、何だか興味をそそられて手に取ってみました。正直なところ、狩猟なんて自分の人生とはまったく無縁な世界だと思い込んでいたのですが、この本を読んでみると、そうした固定観念がいい意味で壊されました。 主人公・マチが免許取得から実際の狩猟まで、一歩ずつ歩んでいく過程がとても丁寧に描かれていて、引き込まれます。狩猟という行為の重さ、命を撃つことの意味と葛藤、ベテランハンターとの関わりの中での成長──こうした要素が自然に物語に織り込まれている。 62歳の身としては、若い世代が自分の内面と真摯に向き合い、何かに夢中になる姿を見るのは、なぜか心が温かくなります。伝説のおばあちゃんハンターのエピソードなんかは、年配者としてもぐっと来るものがありました。 人生経験が豊かな人ほど、この本の奥行きが感じられるんじゃないでしょうか。気軽に読める小説としても、人生について考えさせてくれる一冊としても、本当に良い本だと思います。