行書という書体に対して、漠然とした敬意はありながらも、いざ学ぼうとすると何から始めたらよいのかわからない――そんなもやもやした感覚を持っていた私にとって、この本は本当に必要な一冊でした。 歴史的背景から技法、そして創作・鑑賞まで、体系的に整理されているのが素晴らしい。著者の説明は実に丁寧で、初心者がつまずきやすいポイントをしっかり抑えています。単なる「やり方」の説明に留まらず、「なぜそうなのか」という根拠まで示してくれるので、理解が深まります。 フリーランスとして仕事をしていると、時間の融通が利く分、教養を深める時間は意外と貴重です。この本があれば、自分のペースで行書の世界に入っていける。実際に筆を執ってみたくなる衝動に駆られました。 新書というコンパクトな形式で、これだけの内容を詰め込みながらも読みやすさを損なわない構成は見事です。書法について本格的に学びたい人にも、ただ知識を深めたいだけの読者にも、確実に応える一冊だと思います。