国際政治を扱う新書として期待を持って手にしたが、正直なところ期待値との乖離が大きかった。著者の視点は確かに明確で、現代史における力の論理の復活という主題は興味深い。文章自体も読みやすく、推薦者たちの高評価も理解できなくはない。 ただし、既存の地政学関連書や現代国際政治論を複数読んでいる身からすると、この本で展開されている分析には新鮮さに欠ける。アメリカ、ロシア、中国の関係性や戦略については、より詳細で説得力のある論考を他で読んだ経験がある。確かにストーリー性があり読了しやすいというのは利点だが、深掘りされていない部分が散見される。 フリーランスとして国際情勢への感度を保つ必要がある身としては、参考になる部分ももちろんあるが、基本的な整理程度にとどまる印象を拭い難い。新書という限られた紙幅の制約もあるだろうが、もう一段階の掘り下げがあれば、より推奨できた一冊だ。