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うきうき思いつきひとり遠足

うきうき思いつきひとり遠足

たかぎ なおこ KADOKAWA 2026年2月12日

中年になると「自分の時間」の大切さに気づくものだ。この本は、そうした大人の実感を丁寧に拾い上げた良書だ。 やどかりを返すという小さなきっかけから始まる「ひとり遠足」。著者がレインボーブリッジを歩く時の緊張感やドキドキとした感覚がリアルに伝わってくる。子育て中の日々に埋没していた自分を思い出す瞬間ーそれは多くの働き盛りの読者にとって他人事ではないだろう。 フリーランスの私も、独立当初は時間が自由だったはずなのに、いつの間にか予定で埋め尽くされている。著者が描く「やってみたい」を実行する姿勢には素直に励まされる。半日という短い時間で完結する遠足の数々は、忙しい大人だからこそ実践的だ。 装飾的でない、素朴な文体も好感が持てる。特に著者が感じる違和感や戸惑いの描写は、同世代として深く共感できた。人生の後半戦を充実させるには「好奇心を行動に移す」ことが重要だと改めて認識させてくれた一冊。