感想
相場人生40年の叡智を詰め込んだという触れ込みだったので、期待を持って手にしたのだが、正直なところ物足りなさが残った。「株は上がるもの」という大前提を3つの視点から解説するというコンセプトは悪くないのだが、その論理展開が単純化されすぎている印象を拭えない。 資本主義のなかで株式投資は確かに重要だが、市場には周期があり、個人投資家が直面する現実はより複雑だ。本書で強調される楽観的なシナリオは、黒田日銀やアベノミクス以降の異例な金融環境に大きく依存していないだろうか。その限定性についての議論が不十分に感じられた。 高配当株投資の本質に触れている点は評価できるが、バブルや暴落への「心構え」という表現も気になる。精神論に頼るのではなく、統計的根拠やシナリオ分析に基づいた実践的な戦略をもっと掘り下げてほしかった。 フリーランスとして自分の資産運用を考える身としては、もう少し批判的視点を含めた、より説得力のある議論を求めている。啓発的な側面はあるが、人文系の読書に慣れた者としては、論の奥行きに物足りなさを感じずにはいられなかった。