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プリズム×プロジェクト#1

プリズム×プロジェクト#1

高杉 六花 / yui ポプラ社 2026年2月18日

感想

新書とはいえ、少女向けの育成エンタメ小説とは珍しい選択をしてしまった。正直なところ、最初は懐疑的だったのだが、予想以上に良い意味で裏切られた。 本作の魅力は、単なる夢物語に留まらない点にある。主人公・音羽みおんをはじめとする20人のキャラクターたちが、サバイバルオーディションを通じて直面する葛藤や成長が、実に丁寧に描かれている。各メンバーが異なる背景を持ち、それぞれの「輝き」を模索する過程は、年代を問わず共感できる普遍的なテーマだ。 特に印象的だったのは、ポジティブでありながらも現実的な視点を失わないストーリー構成。夢を追う美しさと、そこに至る厳しさのバランスが秀逸だ。フリーランスとして自分自身も「個性」と「実績」の狭間で葛藤することが多いため、キャラクターたちの悪戦苦闘は他人事とは思えなかった。 新書という限られた紙幅の中で、複数のキャラクターの心情を一定の深度で表現できている点は、編集者の手腕も含めて高く評価したい。青年層だけでなく、人生経験を積んだ読者にも読む価値のある作品である。