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感想

久しぶりに読んで「これは面白い!」と声を上げてしまった一冊です。 惑星ルイナードへの冒険という、いかにもファンタジーな設定なのに、どこか親しみやすい世界観が広がっています。アラスカという主人公が「九つの命と尾を持つ動物」を探すという謎めいた目的で隠者ハングを訪ねるのですが、その過程で描かれる猫たちとの奇妙な共生関係が本当に魅力的。動物たちとの関係性が愛おしく感じられて、何度も読み返してしまいました。 公務員生活で日々マニュアルや規則に囲まれているせいか、こういう予測不可能な展開が新鮮に映るんでしょう。緻密なファンタジーの構築もさることながら、所々に挟まれるユーモアのセンスも光っています。難しい表現もなく気軽に楽しめるのに、きちんと読み応えがある—これは素晴らしいバランスだと思います。 文庫本というのも手軽でいい。通勤時間や仕事の合間に少しずつ読み進められるのが、このペースの読者にはぴったりです。ぜひ多くの人に手に取ってほしい傑作。