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成瀬は信じた道をいく

成瀬は信じた道をいく

宮島未奈 / 宮島 未奈 新潮社 2024年1月24日

感想

前作からずいぶん時間が経ったので、成瀬の続きがあると知ってさっそく手に取りました。正直なところ、シリーズものは後の作品で失速することもあるので、ちょっと心配だったんです。ですが、その懸念は杞憂に終わりました。 本書では、成瀬という主人公を中心に、実に多彩な登場人物たちが織りなす5つの短編が収録されています。子どもから大人まで、様々な立場の人間が成瀬と出会い、その人生に影響を受ける様子が丹念に描かれていて、読んでいて引き込まれます。 特に印象的だったのは、各編ごとに視点が変わることで、成瀬という人物の多面性が浮き彫りになるところです。同じ人物でも、見る角度によって見え方が違うんだなあと改めて気づかされました。また、予測がつかない展開も多く、最後の失踪の場面では本当に驚きました。 前作を読んでいることが前提ですが、それでも十分に楽しめる構成になっていると思います。シリーズファンはもちろん、人間模様を丁寧に描いた作品が好きな方には強くお勧めしたい一冊です。