何度も勧められていた作品ですが、今回ようやく手に取ることができました。正直なところ、事前の評判が高すぎて、本当にそこまで素晴らしいのかと少し懐疑的でもあったのです。ですが、読み始めるとすぐにその不安は払拭されました。 主人公チャーリイの日記形式で進んでいく物語は、彼の変化を読者が直接感じることができます。知能の向上とともに、彼が世界をどう捉えるようになっていくのか。その過程がこんなにも切実で、こんなにも人間らしいものだとは思いませんでした。 何より心を打たれたのは、知識や能力だけでは満たされない、人間にとって本当に大切なものは何かという問いが、静かに、でも強く胸に届くことです。読み終わった後、しばらくは本を置いた手が止まりませんでした。 64年生きてきた中で、こんなに深く考えさせられた小説は数少ないです。文庫本で手軽に読める新版が出たというのも、多くの人に届く機会が増えたということでしょう。本当に読んで良かった。心からお勧めできる一冊です。