感想
医療の現場では、患者さんの判断能力が奪われる悪質な商法の相談を受けることもあります。だからこそこの作品のテーマには、ぐっと引き込まれました。 元探偵の主人公・成瀬将虎が、霊感商法の調査を通じて、予想外の展開へと巻き込まれていく…その過程の緻密さが素晴らしい。仕事柄、人の心理や行動パターンに敏感な立場ですが、この小説の登場人物たちの行動一つ一つが、ああ、こういう心理なんだなと納得させられます。 最初から最後まで、「次はどうなるの?」という期待感を持ったまま読み続けることができました。気軽に読める作風なのに、伏線の張り方が素晴らしくて、終盤の仕掛けに思わず息を呑みました。忙しい日々の中でも、無理なく読破できる文庫本のフォーマットも嬉しい。 確かにこれは「徹夜本」という評判通り。もう一度最初から読み直して、隠された細部を探したくなる魅力がありますね。疲れた時も気分がリセットされる、素敵な一冊です。