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兇人邸の殺人

兇人邸の殺人

今村 昌弘 東京創元社 2025年10月10日

『屍人荘の殺人』から続くシリーズ第3弾ということで、期待と不安を両立させながら読み始めました。正直に言うと、シリーズものは前作の評判に左右される怖さがあるんですが、この作品はその懸念を完全に払拭してくれました。 廃墟テーマパーク内の屋敷という舞台設定だけで既に不気味さが立ち上っているのに、そこに首斬り殺人鬼という要素が加わることで、恐怖とミステリが緊密に絡み合う構造になっています。登場人物たちが次々と追い詰められていく緊張感は、エンジニアとして複雑なシステムを組み上げる過程に通じるものがあって、その論理的な構築の美しさに引き込まれました。 特に葉村と比留子のキャラクターの関係性が深まってきたのが良い。二人の掛け合いに信頼と緊迫感が同居している様は、本当に説得力があります。 ラストの謎解きまで、細部にわたって計算し尽くされている印象を受けました。伏線の回収の気持ちよさは、プログラミングでバグを解決したときの達成感に似ています。ミステリ好きで論理的思考を楽しむ人には特におすすめできる一冊です。