芥川賞候補作ということで期待を持って手に取りました。表題作「幼な子の聖戦」は、地方政治の泥臭さと個人の良心の葛藤を描いた作品で、その点は興味深い。主人公が追い詰められていく心理描写には説得力があり、物語として引き込まれました。 ただ、結末に向かうにつれて、どこか急速に物事が進みすぎているような印象を受けたのは正直なところです。もう少し丁寧に積み重ねられていれば、より深い余韻が残ったのではないかと感じます。 収録されている「天空の絵描きたち」は、ビル窓拭き職人の日常と緊張感を描いた作品で、地味ながら確かな存在感があります。こちらは短編としてはまとまりが良いですね。 特に感銘を受けたわけでもなく、不満が残ったわけでもない、といった感覚です。芥川賞候補作としてのプレゼンテーションは理解できますが、個人的には「確かに良い作品だが、それ以上ではない」というのが正直な評価になってしまいます。文学好きなら読んで損はありませんが、特に急いで読む必要もないかもしれません。