警視庁追跡捜査係シリーズの最新作。五年前の未解決事件を追う二人の刑事の執念が、ページをめくる手を止めさせません。 顔と指紋が潰された被害者、失踪した容疑者、空のUSBメモリ—これだけの手掛かりから事件の全貌を明かしていく過程は見事としか言いようがない。沖田と西川のコンビが、小さな痕跡を積み重ねて真実に辿り着く様は、教室で生徒に事実と論理の大切さを説く身としても深く頷かされました。 何より素晴らしいのは、登場人物たちがみな人間らしいということです。警察小説ともすれば描写が単調になりがちですが、この作品は捜査の緊迫感と同時に、刑事たちの葛藤や家族との関係も丁寧に織り交ぜている。だからこそ、事件解決への道のりに引き込まれるのだと思います。 シリーズ十四弾とのことですが、一冊でも十分に堪能できます。ただし、続きが気になって他の巻にも手を伸ばしてしまうこと必至。話題の作品として聞き及んでいましたが、期待以上の面白さでした。