話題の『舟を編む』をようやく読み終わりました。教育現場にいる身として、この作品は非常に心に響きました。 辞書編集という一見地味な仕事を通じて、言葉の重みと人間関係の絆が丁寧に描かれています。主人公・馬締光也が営業部から辞書編集部へ異動するくだりから、既に引き込まれました。変人扱いされていた彼が、実は言葉に対する独特の感性を持っていたという設定は秀逸です。 何より素晴らしいのは、登場人物たちの成長が自然に描かれていること。定年を控えたベテラン、学問一筋の老学者、そして馬締自身。それぞれが『大渡海』という一つの辞書を完成させるために、時間をかけて人間関係を築いていく過程が、本当に美しい。 ただし、辞書編集というテーマの性質上、中盤やや進行が緩く感じられる点は否めません。ですが、それもまた職人的な仕事の本質を表現しているのかもしれません。 言葉を扱う教員として、生徒たちにも薦めたい一冊です。