この本、実に面白かった。著者の大原扁理さんという人物が、世間一般の「成功」や「常識」をするりと脇に置いて、年収90万円で充実した人生を送っているという話なんだが、そのしなやかな思考がいいんだ。 自営業をやっていると、つい売上や利益のことで頭がいっぱいになってしまう。でも、この本を読んでいると、本当に必要なものって案外少ないんじゃないか、という気づきが次々と出てくる。衣食住のシンプルな工夫だとか、ハッピー思考というのが実は簡単な発想の転換なんだとか。 著者の「社会的成功から乗り遅れまくったら、毎日が楽しすぎた」という言葉には、独特の説得力がある。人生の正解を他人に委ねるのではなく、自分で自分の幸せを定義してしまえという潔さが素敵だ。 気軽に読めるエッセイなので、難しい理論を期待して手に取ると肩透かしを食らうかもしれない。でも、ああでもない、こうでもないと考えたい年ごろだからこそ、こういう「別の選択肢もあるんだよ」という本の存在は心強いし、何度か読み返したくなる内容だと思う。
最近登録された他の本の感想
2026年07月01日
信州善光寺の門前という舞台設定に惹かれて手に取った一冊。実は『ほどなく、お別れです』は未読なのだが、この作品は独立して楽しめる良い作品だと感じた。 小さな宿屋を舞台に、様々な事情を抱えた人たちが立ち寄る。その一つひとつの出会いと別れが丁寧に描かれているのだが、決して重くならず、むしろ淡く温かい。自営業をしていると、人間関係の複雑さや人生の辛さをしみじみと感じることがあるのだが、この物語を読んでいると、そういった痛みや喪失感とどう向き合うか、という大事なテーマが自然に伝わってくる。 派手な事件や劇的な展開はないけれど、読み進めるにつれてじんわり心が温かくなる。疲れた時に枕元に置いて、何度も開きたくなるような一冊。文庫本というフォーマットも、気軽に読める気軽に読み返せるという点で、この作品にぴったり合致している。人生の中盤を迎えた自分にとって、今のタイミングで出会えて良かった。
2026年06月14日
ファンタジーは敬遠しがちだったのだが、仕事の合間にふっと手に取ってみたら一気に引き込まれてしまった。噂通りの面白さである。 この作品の魅力は、何といってもテンポの良さと登場人物たちの人間的な葛藤にある。絶望的な状況下で、国王ウォルが少女リィに託す作戦という単純な設定が、これほど深く心を揺さぶるとは思わなかった。軍事的な駆け引きの中にも、個々のキャラクターの決断と覚悟が生々しく描かれていて、グッと来るシーンが随所にある。 新装版ということで装画も素晴らしく、文庫本としてのまとまりも良い。特に自営業で日々忙しい身としては、こういった息つく暇もないほどの面白さというのは、読書の醍醐味だ。続きが気になって、つい夜更かしをしてしまう危険性もあるほど。累計350万部超というのも納得できる。次巻も手に取りたくなる傑作である。
2026年06月13日
講談社の新書で警察小説というのは珍しいなと思って手に取りました。ドラマ化もされた作品らしいので期待値も高めでしたが、読んでみると可もなく不可もない、といった印象です。 警察組織内の権力闘争と個人の欲望が絡み合うストーリー展開は興味深いです。キャリア官僚と現場警察官の対立構図も日本の官僚制度を考える上で現実味があります。ただ、主人公の綾部早苗のキャラクターが少々単調に感じられました。宝くじで大金を手にしたことで性格が変わっていく過程は分かるのですが、その変化がやや急速で、腑に落ちない部分がありましたね。 新書という限られた紙幅の中での展開なので、登場人物たちの心理描写がもっと深く掘り下げられていれば、より引き込まれたと思います。警察小説としての枠組みは上手くまとめられていますが、何か物足りなさが残る作品でした。気軽に読むには十分ですが、特別に心を揺さぶられるような場面もなく、読み終わった後の余韻が薄い。自営業の身で時間がある時に読むには無難な選択肢かもしれません。
2026年06月09日
永井龍男の最後の著作という触れ込みに惹かれて手に取った。神田の生まれ育ちから鎌倉での最期まで、人生の主要な地点を短篇でたどっていくという構成らしい。 読んでみると、確かに歴史的価値は感じられる。関東大震災を経験した世代の回想として、当時の東京の風景が生き生きと蘇っている部分は興味深い。特に「神田の生れ」や「関東大震災」といった章では、失われた風景への郷愁がほのぼのと伝わってくる。 ただ、正直なところ、全体的には散漫な印象は拭えない。自伝的エッセイという性格上やむを得ないのかもしれないが、各章が独立しており、全体として一つのストーリーが立ち上がる感覚が薄い。死を覚悟した作家の最後の仕事という文脈を持ち込まなければ、これといった強い印象を受けることもなかったと思う。 収録されている短篇「冬の梢」も含めて、静かで落ち着いた品のある作品集ではあるが、気軽に読むにはやや退屈に感じる部分もある。歴史好きや永井龍男のファンには価値があるだろう。
2026年06月08日
大河ドラマの放送をきっかけに手に取った一冊です。豊臣秀吉といえば誰もが知る戦国の英傑ですが、この作品は兄を影で支え続けた弟・秀長に焦点を当てている。実は自営業をやっていると、この秀長という男の生き方がよく分かるんですよね。 派手さはないけれど、兄の夢を自分の夢として、黙々とそれを実現させていく。そういう脇役的な立場の価値って、年を重ねるほどに理解できるようになります。著者は秀長の心情や葛藤を丁寧に描き、彼がただの補佐役ではなく、天下統一を支えた重要な人物だったことを教えてくれます。 歴史小説としても読みやすく、戦国時代の緊迫感と兄弟の信頼関係が自然に伝わってきた。気負わずに読める文体も好ましい。人生経験を重ねた世代だからこそ、このような脇役の人生に深く共感でき、引き込まれていきました。歴史好きな方はもちろん、そうでない方にもお勧めできる、素晴らしい一冊だと思います。
2026年06月08日
自営業をやっていると、常に先のことを考えて判断を迫られる。この本を手に取ったのは、そうした経営感覚と人生設計に共通する何かがあるのではないかという直感からだった。 読んでみると、確かに目から鱗だ。投資家的思考というのは、単にお金の運用技術ではなく、限られたリソースをどう配分して最大のリターンを得るかという根本的な戦略論なのだ。自分の経験と重なる部分が多い。 特に「目に見えない資産を増やす」という章は、自営業者にとって実用的だ。人脈、信用、スキル──こうしたものの価値を意識的に高める習慣の大切さが腑に落ちる。年を重ねると、こういう無形資産こそが本当の強みだと気付く。 著者が提示する「3つの思考」と「3つの習慣」も、わかりやすく整理されていて、すぐに実生活に落とし込める内容になっている。複雑な理論よりも、シンプルで実行可能な考え方を示してくれるのが良い。 増補版ということで、最新の時代背景も反映されているんだろう。これからの人生戦略を考えるうえで、気軽に読める良い指南書だと思う。
2026年06月08日
人生も半世紀を過ぎて、こういった人間の成長や精神的な深まりについて描かれた作品は、自然と心に沁み入るようになってきた。この第17巻も例外ではなく、主人公たちの葛藤や選択の場面で何度も立ち止まってしまった。 自営業という立場で仕事をしていると、決断の連続だし、失敗もある。そうした時に、この物語のような不屈の精神、そして人とのつながりの大切さを改めて考えさせられるんだ。派手さはないかもしれないけど、じわじわと心に響いてくるのが特徴だと思う。 文庫版で気軽に読み進められるのも良い。長編シリーズだからこそ、各巻で完成度を保ちながら新しい視点や課題を投げかけてくる構成力は見事だ。人間とは何か、社会とは何かを問い続ける姿勢が一貫していて、それが信頼感につながっているんだろう。 気負わずに読める深さ。それが何より魅力的だった。
2026年06月07日
茶碗の付喪神という設定だけで、もう惹き込まれてしまいました。信長が愛した幻の名品という歴史のロマンと、物に宿る魂という日本的な世界観が見事に融合しているんです。 読んでいて思ったのは、著者がお道具への向き合い方をとても丁寧に描いているということ。茶碗のシロさんが自分の来歴を思い出そうとする過程が、単なるミステリーではなく、ひとつの物語としての深みを持っていて。芦屋という土地の歴史と、古い館の雰囲気も相まって、ページをめくる手が止まりません。 何より良かったのは、文章が気軽に読めるのに、根底に流れる物への思想がしっかりしていることです。自営業で店の什器や道具に囲まれて暮らしていると、こういう「物の声を聞く」という姿勢が胸に響くんですよね。懐かしい日本の美意識を思い出させてくれるような一冊です。文庫本というフォーマットも気軽に読むには最適で、隙間時間にゆっくり楽しめました。
2026年06月07日
「マカン・マラン」の新作とあって、手に取らずにはいられませんでした。シャール、ジャダ、さくらが台湾へと舞台を移した今作、期待通り素敵な旅の物語に仕上がっています。 この本の魅力は、なんといっても登場人物たちの自然な掛け合いと、台湾という場所への向き合い方にあります。食べ物の描写が本当に魅力的で、読んでいて台湾の空気を吸いたくなる。人との出会いを通じて新しい視点が開かれていく過程も心地よい。 自営業をしていると、ついついビジネス本ばかり手に取ってしまうのですが、こういう気軽な旅エッセイに出会うと心がほぐれる思いがします。シリーズを重ねるごとに、キャラクターたちへの親しみも増していますしね。前作からのファンなら間違いなく楽しめる一冊。新しい読者にとっても、素敵な入口になるんじゃないでしょうか。 開店10周年の記念作品として、大事に読ませてもらいました。
2026年06月01日
最近、仕事のストレスが溜まっていたせいか、書店で目に留まったこの本を何気なく手に取ってしまった。アラサー女子向けの旅手帳なんて、正直なところ自分には無関係だろうと思っていたのだが、開いてみると案外面白い。 やまももという動画クリエイターが提案する「ごほうび旅」のコンセプトが、実は年代を問わず刺さるものだった。週末に疲れを癒すための旅、予算15万円以下で日帰りから2泊程度というプランの立て方は、自営業で忙しい身にはぴったり。無理をしない、予約なしで気ままに回るというアプローチも、堅苦しくなくていい。 全国各地の旅プランがイラストや写真で紹介されていて、眺めているだけで癒される。正直「かわいい」というキーワードが中心だから最初は敬遠気味だったけど、実際には景観の美しさ、グルメ、温泉といった実用的な情報もしっかり詰まっている。次の連休はどこへ行こうか、この本を片手に計画を立てたくなった。年齢や性別に関係なく、疲れた時の読み物として良い一冊だと思う。
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