雄一の本棚
年収90万円でハッピーライフ

年収90万円でハッピーライフ

大原 扁理 筑摩書房 2019年7月9日

この本、実に面白かった。著者の大原扁理さんという人物が、世間一般の「成功」や「常識」をするりと脇に置いて、年収90万円で充実した人生を送っているという話なんだが、そのしなやかな思考がいいんだ。 自営業をやっていると、つい売上や利益のことで頭がいっぱいになってしまう。でも、この本を読んでいると、本当に必要なものって案外少ないんじゃないか、という気づきが次々と出てくる。衣食住のシンプルな工夫だとか、ハッピー思考というのが実は簡単な発想の転換なんだとか。 著者の「社会的成功から乗り遅れまくったら、毎日が楽しすぎた」という言葉には、独特の説得力がある。人生の正解を他人に委ねるのではなく、自分で自分の幸せを定義してしまえという潔さが素敵だ。 気軽に読めるエッセイなので、難しい理論を期待して手に取ると肩透かしを食らうかもしれない。でも、ああでもない、こうでもないと考えたい年ごろだからこそ、こういう「別の選択肢もあるんだよ」という本の存在は心強いし、何度か読み返したくなる内容だと思う。