ゆーきの本棚
コンビニ兄弟 -テンダネス門司港こがね村店ー

コンビニ兄弟 -テンダネス門司港こがね村店ー

町田 そのこ 新潮社 2020年7月29日

最近の話題作ということで手にとってみました。九州のコンビニを舞台にした、何ともほほえましいお話ですね。 人生八十年も生きていると、さまざまな人間関係を見てきたものですが、この本に登場する店長・志波三彦という人物の描き方が実に秀逸です。仕事もできて、自然と人を引き付ける魅力を持ちながらも、どこか謙虚さを失わない。こうした人物像は現実でもなかなか珍しいものです。 何より印象的だったのは、日常の風景の中に静かな感動を見出す筆の運びです。コンビニという身近な場所が、多くの人びとの思いや葛藤が交わる舞台になっている。定年退職して以来、ときどき昼間にコンビニに立ち寄ることもありますが、こうした視点で見直してみると、そこにも小さなドラマがあるのだなと感じさせられました。 文庫本という気軽なフォーマットも手に取りやすく、読んでいて疲れることもありません。同世代の方々にも、ぜひお勧めしたい一冊です。