成瀬あかりシリーズの新作を読了した。やはり素晴らしい。前作から引き続き、この独特な女性を中心に展開する五編の物語は、どれもが心に残る仕上がりになっている。 80年も生きていると、人間関係の複雑さについて思い知ることが多いが、この作品はそれを見事に表現している。成瀬という主人公は、周囲の様々な人物たちとの交差を通じて、誰もが自分の人生を真摯に歩もうとしていることを教えてくれる。小学生から父親、そして女子大生まで、登場人物たちの物語が織り交ぜられるその手法は秀逸だ。 特に印象的なのは、各編で異なる視点から成瀬という存在が描かれることで、人物の奥深さがより一層引き立つということである。これこそが文学の醍醐味ではないか。話題作とも聞いていたが、納得のベストセラーである。 最後の失踪という展開には、つい引き込まれてしまった。読み応えは申し分なく、まさにこの年になっても新しい発見のある本との出会いに感謝する。次の作品も是非読みたいと思わせる傑作だ。