智子の本棚
マチネの終わりに

マチネの終わりに

平野 啓一郎 文藝春秋 2019年6月6日

話題の平野啓一郎作品がついに文庫化されたので、さっそく手に取りました。自営業をしていると、人間関係や人生の選択について考える機会が多いのですが、この作品はそうした葛藤をこれ以上なく繊細に描いています。 たった三度の出会いで深く愛する二人の恋の行方を追うのですが、単純なラブストーリーではなく、年齢を重ねた大人だからこそ感じられる切実さが心に響きます。天才ギタリストとジャーナリストという異なる世界を生きる二人が交錯する様子が本当に美しい。 印象的だったのは、芸術と生活、グローバリズムなど現代的なテーマが自然に織り込まれていて、重厚さと読みやすさの絶妙なバランスです。最後のページを開けるのが惜しくなるほど、引き込まれました。 最終ページを閉じた後も、人生の選択や愛することの本質について考えずにはいられない。そんな至高の読書体験でした。自営業で忙しくても必ず時間を作ってでも読む価値がある一冊です。