感想
直木賞受賞作ということで手に取ってみたのだが、これが予想以上に面白かった。便利屋という一見地味な職業を舞台にしながら、日常の中に潜む小さな謎や人間関係のもつれを見事に描き出している。 多田と行天というコンビの掛け合いが本当に魅力的だ。互いに補完し合いながら、ペットの世話から納屋の片付けまで、ありふれた依頼に向き合う二人の姿を見ていると、こちらまで応援したくなる。仕事で疲れた平日の夜に読むと、こういった人間関係って大事だなと思わせられる。 物語としてのテンポも良く、短編的な挿話の積み重ねが全体を形作る構成は、通勤時間の読書にぴったり。それぞれの依頼がやがて繋がり、予想外の展開へと向かっていく喜びもある。話題作として選ばれるだけのことはある一冊だと確信できた。もう一度読み返したい気分だ。