芥川賞候補作ということで、さっそく手に取ってみました。やはり話題作は読んでおきたいですからね。 表題作の「幼な子の聖戦」は、心理描写がとても深くて引き込まれました。故郷に帰った男性が、理想と現実の狭間で揺れ動く様子が胸に迫ります。新興宗教への失望、村の政治への関わりなど、人生を左右する選択の重みが伝わってくる。68年生きてきた私だからこそ、こういった葛藤の描き方に共感できるのかもしれません。 収録されているもう一篇「天空の絵描きたち」も素晴らしい。ビルの窓拭きという日常の中の緊張感を、こんなに生き生きと描けるものかと驚きました。若い世代の仕事への向き合い方が感じられて、私たちの時代とは違う生き方があるんだなと気づかせてくれます。 文庫本というのも読みやすくていい。パート帰りの休みの日に、じっくり読むのに最適です。話題作を読むことで、今の文学がどこに向かっているのかが見える気がします。