東野圭吾らしい緻密な構成と、人間ドラマの深さが詰まった一冊ですね。 主人公が命じられる「クスノキの番人」という不可思議な役割。その正体が明かされていく過程が実に上手い。最初は謎めいた展開に引き込まれ、物語が進むにつれて登場人物たちの思いが少しずつ浮かび上がってくる感覚がありました。教育現場にいる身として、人と人との繋がりや「恩」の意味について考えさせられる部分も多かったです。 派手なアクションや謎解きというより、静かな感動が積み重なっていく小説。学園や家族の関係性、人生の選択肢について丁寧に描かれているので、中高年の読者にはとても響くと思います。文庫本というフォーマットも気軽に読みやすくて良いですね。 ただ、終盤の仕掛けは少し予想がつきやすいかもしれません。それでも、その答えに至るまでの道筋が心地よく、読み終わった後に温かさが残る。こういう余韻を大切にする小説は、個人的に大好きです。アニメ化も楽しみですね。