『国宝 下 花道篇』を読み終わりました。上巻に続く圧倒的なエンターテイメント性に引き込まれっぱなしでした。 任侠の世界に生まれながら、舞台という別世界に身を置くことになった立花喜久雄。彼の人生を追う中で、昭和という時代の流れと、芝居に生きる男たちの執念が見事に織り交ぜられています。1964年の長崎から東京へと舞台が移る中で、日本という国そのものが成長していく様が背景にあり、個人の運命と国家の歩みが重なっていく構成が素晴らしい。 何より感心したのは、複数の登場人物それぞれが一本の道を究めようともがく姿勢です。教員という職業柄、若者たちの成長を見守ることが多い身ですが、この作品を読んでいると、技を磨き、人生に向き合う男たちの真摯さに心打たれます。 確かに長編で読み応えがありますが、その分だけ物語の深みに浸る喜びを感じさせてくれます。下巻だけでも十分な完成度がありながら、上巻まで含めた全体像を思い返すと、さらに味わい深い作品だと感じます。気軽に楽しめるエンターテイメント超大作として、多くの読者にお勧めできる一冊です。