『ラッシュライフ』、面白かった。最初は四つの独立した物語が並行して進むのかと思ったけど、読み進めるうちにそれらが絶妙に絡み合っていく快感。教科書では味わえない、こういった仕掛けの妙を感じるのが読書の醍醐味だ。 登場人物たちが一見バラバラの人生を歩んでいるようで、実は深くつながっていく構造がいい。泥棒、自殺に悩む青年、不倫するカウンセラー、家族に捨てられた男――どれもどこか切実だけど、それが機知に富んだ会話と予想外の展開で次々と翻弄される。読んでいて、次は何が起こるんだろうという興奮が常に続く。 著者の筒井康隆らしい、ユーモアと哲学的な深さが両立した不思議な世界観。日常の枠を外した話なのに、妙にリアリティがある。40代になると、人生の複雑さや矛盾をより感じるようになるけれど、そういう時だからこそ、この作品の不条理さが心に届くんだと思う。気軽に読める文庫版で、こんなに知的興奮を得られるのは稀だ。