フィギュアスケートを題材にした「メダリスト」シリーズの12巻です。本作は新しい章突入ということで、物語の転機を感じさせる一冊となっていますね。 これまで主人公いのりと司の視点で描かれてきた物語が、今巻から光というキャラクターの視点も加わることで、より多角的な競技人生が映し出されます。複数の視点から物語が展開する手法は、スポーツ漫画として深みが増す工夫だと思います。 ただし、正直なところ、この巻では若干のストーリー停滞感があるように感じました。海外での試合や新たな選択肢の提示など、事象としては進展していますが、心理的な葛藤や成長の描写にはやや物足りなさが残ります。キャラクターの内面描写がもう一段階深まると、より印象的な作品になるのではないでしょうか。 マンガとしての画力や構成は相変わらず安定していますし、題材への向き合い方も誠実です。次巻での展開に期待しつつ、現段階では及第点といったところでしょう。シリーズファンには継続的に読む価値はありますが、新規読者はこれまでの巻から始めることをお勧めします。