この本、ずっと気になっていたんです。全米批評家協会賞を受賞した話題作ということで、手に取ってみました。 正直なところ、最初は複雑な構成に戸惑いました。謎の作家アルチンボルディを追う四人の文学教授、メキシコの国境の街での事件、ボクシング記者の話…複数の物語が絡み合う形式は、最後までついていくのに根気が必要です。でも、読み進めるにつれて、著者がこの複雑さをわざと仕掛けているんだと気付きました。 ボルヘスやコルタサルといった難解な文学作品を好む私にとっては、この重層的な物語構造がむしろ魅力的。各登場人物の運命が徐々に交差していく過程は、本当に興味深い。特にメキシコの女性連続殺人事件の描写は、フィクションでありながら現実の問題へのしっかりした向き合い方を感じます。 ただ、700ページ近い大作であることは事実。仕事で疲れているときに読むには、かなりの集中力が必要です。でも、だからこそ読み終わったときの達成感があるんですよね。知的好奇心を満たしたい、挑戦的な読書がしたい時期に出会えた一冊です。