三島屋シリーズも第五弾まで来たか。いやはや、これほどまでに没入させる時代小説に出会えるとは思わなかった。 今作は「瓢箪古堂」の若旦那・勘一が語り手となり、寿命を教える不思議な冊子をめぐる物語が展開される。怪談めいた設定ながら、その底流には人間の運命や選択についての深い問い掛けがある。宮部みゆきの筆は相変わらず冴えており、一編一編が短編としても秀逸だ。 何より興味深いのは、ヒロイン・おちかの心身の成長を丁寧に描き続けてきたシリーズが、ここで一つの完結を迎えるという構成である。傷ついた心が癒やされ、やがて自身の人生に向き合う姿勢へと変わっていく過程が説得力を持つ。 「怖いけれども癒になる」という説明は言い得て妙。エンタメとしての面白さと、文学的な深さのバランスが絶妙だ。このシリーズは話題作として押さえるべき一冊。第一期の完結ということなので、ここで区切りをつけても良し、次の展開を待つも良し。いずれにせよ、傑作シリーズとして長く記憶に残るだろう。