定年まであと数年という今この時期に、こういう本との出会いというのは本当に貴重だと感じる。酒井雄嶺大阿闍梨の言葉集『一日一生』は、最近話題になっているだけあって、読む価値がある一冊だ。 「一日を一生のように生きよ、明日はまた新しい人生」というテーマは、ありきたりに聞こえるかもしれない。しかし、千日回峰行を二度も満行されたという実体験に裏打ちされた言葉の重みは全く違う。組織の中で生きてきた自分にとって、何度も何度も人生をリセットして歩き続けるというその姿勢そのものが、深い問い掛けになっている。 新書というコンパクトなフォーマットながら、各項目が程よい長さで構成されており、朝の通勤電車の中でも、週末の散歩中でも読み進められる。迷いながら生きてきた私たちのような世代にこそ、「なぜ生きるのか」「いかに生くべきか」という根本的な問いに向き合わせてくれる。 今を生きることの大切さ、そしてその先の人生への見方が少しずつ変わっていく読後感がある。