久しぶりに一気読みしてしまった。最近の話題作ということで手に取ったのだが、これは期待値を大きく上回る傑作だ。 舞台は曰くつきの屋敷での連続殺人。設定だけ聞くと古典的なクローズドサークルものだが、ここからの展開が本当に秀逸。冒頭の奇想的なシチュエーション設定から、読者は次々と予想外の方向へ導かれていく。第27回鮎川哲也賞受賞作というのも納得だ。 葉村、明智、比留子という大学生探偵たちのキャラクターも立っており、彼らの推理の応酬が心地よい緊張感を生み出している。本格ミステリとしての仕掛けも見事で、読了後に「ああ、なるほど!」と膝を打つ瞬間の快感がある。 ここ数年、推理小説の新作にあまり満足できていなかった自分にとって、この作品は本当に久しぶりの大当たり。話題作というのも伊達ではない。五十代の身でも若い世代の視点を新鮮に感じさせられた。同年代の方にも、若い世代にも強くお勧めしたい一冊だ。