直人の本棚
煙と蜜 第七集(7)

煙と蜜 第七集(7)

長蔵 ヒロコ KADOKAWA 2026年3月13日

「煙と蜜」の第七集に到達して、改めてこの作品の魅力に引き込まれました。長く連載されている作品ですが、新刊が出るたびに必ず読むようになっています。 今巻は姫子が少女から乙女へと移り変わっていく、そのデリケートな過渡期を描いているのが素晴らしい。女学校受験という人生の転機を前に、学友たちとの関係や親との距離感に揺らぎが生じ、本人さえも気づかない微妙な心情の変化が丹寧に表現されている。18歳の年の差がある文治との関係も、静かだが確かに深まっていく様子が緊張感を持ってページをめくらせます。 年を重ねた身からすると、この作品の時間感覚が心地よいのです。焦らず、駆け足にならず、季節の移ろいとともに人間関係が醸成されていく。大正時代という背景も相まって、懐かしさと新しさが共存している。新刊を手にするたびに、世間で話題になる理由がよくわかります。次巻がますます楽しみです。