エンジニアとして問題解決志向で日々を過ごしていると、「やりたいことを見つける」という問いに対して、どうしても論理的な答えを求めてしまいます。本書はそうした思考回路を一度リセットさせようとする意図が見えて、その点は評価できます。 ただ、内容としては既存の自己啓発本の枠を大きく出ていないというのが正直な感想です。マンガやアニメの例を引きながら「夢中になることの大切さ」を説く構成は分かりやすいですが、具体的なアクションプランや、本当の意味で「レールを外れる」ための方法論が足りない気がします。 著者の主張は理解できます。でも、すでに何らかの選択肢の中で生きている大人にとって、この新書が提供するのは「気づき」に留まっているのではないでしょうか。若い世代には刺激的かもしれませんが、キャリアを重ねた読者には、もう少し踏み込んだ議論を期待してしまいます。 読んで損はない一冊ですが、特別な発見や転機を求めて手に取るのであれば、期待値の調整が必要かもしれません。