三浦の本棚
君の膵臓をたべたい

君の膵臓をたべたい

住野よる 双葉社 2015年6月1日

正直なところ、このタイトルに最初は引いてしまいました。書店で何度か目にしていたものの、慎重な性格が邪魔をして手に取るのに時間がかかってしまったんです。しかし、複数の読者レビューが高く評価していたので、思い切って購入してみました。 正解でした。期待以上の感動がありました。 高校生という限定的な舞台設定ながら、人生の有限性とそこに生まれる絆について、これほど丁寧に描いた作品は珍しい。主人公たちの会話が自然で、読んでいて引き込まれていくのを感じました。 特に素晴らしいのは、仕掛けの巧妙さです。全編を通じて張り巡らされた伏線が、終盤で一気に回収される快感。35年も生きていると、小説のトリックなんて見抜けることが多いのですが、この作品はやられました。 いくつかの段階で物語が変化し、各段階で異なる感情を呼び起こされます。最初はミステリーのようで、中盤では青春小説らしさが強まり、終盤では深い人間ドラマへと変わっていく。その転換が実に自然です。 仕事で疲れた心に、本当に良い栄養になりました。同世代の方にも、また若い世代にも広くお勧めできる傑作だと思います。