慎重派の私が、このミステリーに惹き込まれました。 各種ミステリー賞を受賞した理由がよく分かります。冒頭から次々と投げかけられる謎—霊感商法、謎の女性、そして主人公・成瀬将虎の背景—が見事に織り交ぜられており、一気読みせずにはいられませんでした。 特に秀逸なのは、物語が進むにつれて初期の印象が覆される構成です。最初は単なる探偵ミステリーだと思っていたのに、読み進めると登場人物の行動や心理に対する解釈が変わっていく。その巧妙さに何度も「あ、そういうことか」と納得させられます。 確認的な性質の私としては、最後まで読み終えてから読み返したくなる本というのは珍しく、その点でも高く評価できます。些細な伏線が後で効いてくるので、二度目の読書で新しい発見が必ずあります。 会社で疲れた日の週末、この本に没頭するのは本当に良い息抜きになりました。エッセイ的な要素も感じられ、娯楽としての面白さと思考的な深さが両立しているのは珍しいです。ミステリーが好きな方には確実にお勧めできる一冊です。