感想
話題作だったので手に取りましたが、正直なところ期待と現実のギャップに戸惑ってしまいました。 舞台となる昭和の日本、特に任侠の世界と歌舞伎という異なる文化が交錯する設定は非常に興味深いのです。一人の男が二つの世界に揺らぎながら生きていく葛藤、そこに時代の流れが重なっていく...素晴らしい物語の骨組みだと思います。 しかし、下巻である本作を読んでいて感じたのは、物語が長く展開される割に、登場人物たちの内面の深さが今ひとつ伝わってこない点です。派手な場面描写や人間関係の複雑さは丁寧に描かれているのに、彼らがなぜそこまで執着し、何を求めているのか、その本質的な部分がぼやけているような気がしてしまいました。 受賞作品ということもあり、より深い感動を期待していたのかもしれません。悪い本ではないのですが、仕事の息抜きに読むには長く、心を揺さぶるには物足りない、そんな微妙な位置付けの一冊となってしまいました。