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ビタミンF

ビタミンF

重松 清 新潮社 2003年6月1日

直木賞受賞作ということで期待を持って手に取りました。人生の転機を迎えた30代、40代の男性たちの日常を描いた短編集ですが、正直なところ「可もなく不可もない」というのが率直な感想です。 各編の主人公たちが抱える悩み――妻との関係、息子との距離感、人生の停滞感――は確かに共感できるテーマです。仕事をしていると、こうした人間関係の葛藤は周囲にもよく見かけます。ただ、短編だからでしょうか、それぞれのストーリーが少し物足りなく感じてしまいました。 タイトルの「ビタミンF」が示唆する「家族」というテーマは良いのですが、読んだ後に心に何か残るような深い洞察や感動がもう一歩足りないんです。疲れた時の心の栄養という帯文句には惹かれていたのですが、そこまでの効き目は感じられませんでした。 仕事のストレスで本を読む時間も限られているので、より響く作品を求めているのかもしれません。話題作ということで読んでみる価値はありますが、万人にお勧めできるほどではない、という印象です。