読売文学賞受賞作と聞いて、すぐに手に取りました。期待通り、素晴らしい一冊です。 著者の人生を辿るエッセイのような構成なのですが、これが本当に引き込まれる。3月生まれの自分が「遅生まれの劣等感」とどう向き合ったか、小説家志願という夢がいかに迷走の連続だったか——そうした「異端」だった時代が、決して否定的ではなく、むしろ愛おしく描かれている点が素敵です。 公務員という安定した道を選んだ身としては、「別の人生を歩む勇気」と「それでも諦めない執念」という相反する感覚が、すごく胸に響きました。芥川賞の落選を何度も経験しながら、それでも書き続けた著者の姿勢に、人生って本当に一本道じゃないんだなって改めて感じます。 文章が美しくて、時に自虐的で、時にユーモアに満ちている。恥ずかしい過去も、失敗も、全部が今の著者を作っているんだという温かさが伝わってきます。人生の転機を迎えている人、自分の選択に迷っている人にぜひ読んでほしい。最近読んだ本の中で、一番心に残りました。