斎藤の本棚
王と后 (七) 長い別離の夜

王と后 (七) 長い別離の夜

深山 くのえ / 笹原 亜美 小学館 2026年3月6日

王と后シリーズ第七巻。今話題になっているということで手にとってみました。 禁術による王位奪取という大きなインパクトのある展開で、確かに物語としての転換点には成りうる素材だと感じます。前の王が別の肉体に魂を移すという設定も、ファンタジー作品としては興味深い。 ただ、正直なところ、この巻だけを読むと物語が一度ここで区切られた感じがして、話がまだ途中という印象は否めません。王宮内の各勢力の思惑が絡み合うところは面白いのですが、個々のキャラクターの掘り下げや感情の描き込みが、もう少し深ければなと思いました。 シリーズを長く続けているぶん、新規読者には若干入り込みにくいかもしれません。逆にシリーズ追読者には、次巻への引っ張り方としてはうまく機能しているのだと思います。綿密な世界観は評価できますが、この一冊を単体で楽しむには、物足りなさが残ります。シリーズの継続次第ではありますが、現時点では可もなく不可もなく、という感じですね。