斎藤の本棚
ライオンのおやつ

ライオンのおやつ

小川 糸 ポプラ社 2022年10月6日

話題の本ということで手にしてみたのですが、期待以上の作品でした。余命を告げられた若い主人公が、瀬戸内の島のホスピスで過ごす日々を描いた物語なのですが、重いテーマなのに読んでいて心がほっと温かくなるんです。 毎週日曜日の「おやつの時間」という設定が秀逸で、主人公がおやつを選ぶという単純な行為の中に、人生における選択や後悔、そして本当にやりたかったことが透けて見える構成になっています。家事をしていて日々の小さなことに意識を向けることが多い自分だからこそ、このような些細な瞬間の大切さが深く沁みわたりました。 著者の優しい筆致と、瀬戸内の風景描写も印象的です。死という普遍的なテーマを扱いながらも、決して暗くならず、むしろ「今を大事に生きよう」という前向きなメッセージが静かに伝わってくる。本屋大賞第2位も納得の一冊。日常の中で忙しくしている人ほど、この物語を読んで立ち止まって考える時間を持つ価値があると思います。