ヴァン・ショーをあなたに

ヴァン・ショーをあなたに

近藤史恵

出版社:東京創元社 出版年月日:2008/06/01

東京創元社 | 2008/06/01

4.00
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感想

下町にある小さなフレンチレストラン『ラ・パルマ』 若き日の三船敏郎に似た無愛想で腕のいいシェフ三船と 以前は高級ホテルのメインダイニングで働いていたことも ある料理人、志村さん。ソムリエの金子さんは唯一の女性スタッフ そしてこの物語の語り役でもあるギャルソンの高築君。 4人のスタッフとお客さんたちとの料理を介した中でおこる 日常のちょっとした謎を推理していくシェフ三舟。 前作『タルトタタンの夢』に続いての第2弾のこのシリーズ 本当に日常の中の些細なことや人の心のちょっとしたすれ違いを 三舟シェフの洞察力で優しく解き明かしていき最後はちょっと 幸せな気分になれるような読後感のよさにとても好感が持てる。 きちんと手入れをしているはずなのに何故か錆びてしまうスキレット 捨て猫にうっかり餌をやってしまったことから志村さんに怒られてしまった 三舟シェフ。スキレットと猫・・・一見なんの関係もないような2つの 事柄の裏側にはちょっぴり哀しい真実が・・・ ベジタリアンの女性客が好んだピストゥ、三舟シェフの後輩料理人には それが憂さ晴らしの材料になり・・・料理人のプライドが伺える1篇 新しい店をオープンする直前に急にいなくなった女性パン職人 昔ながらのフランスパンと昔の味そのままのような素朴なメロンパン どちらも捨てがたい。来店すると必ずブイヤベースを注文する新城さん 彼女の正体は?そして動揺する三舟シェフに思わずニヤリ。 彼女は出て行った。かき氷が大好きでどこか不安定なものを感じさせる 彼女との恋。叶わぬ恋の苦しさと切なさ『氷姫』 トリュフ入りオムレツのおいしいフランスの片田舎のレストランで出会った 料理の修業中の男性に自分が旅に出ることになった話をする女 ”本当に大切なことは目には見えない”星の王子さまの中の有名な一説 若き日の三舟シェフの推理は? ストラスブールのミリアムおばあちゃんの作るヴァンショーはとても有名 しかし、ある日おばあちゃんが赤ワインで作るヴァンショーを白ワインに かえてしまったのはどうして? 7編の短編集だが後半の3編はいつもの高築君が語り手ではない手法 特に2編については三舟シェフのフランス修行時代の話で今までとは少し 雰囲気が違ってくる。 フランス人は共感を求めない、徹底的に互いの意見の違いについて議論することを楽しむ。 って言うのが印象的。このフランス人気質とサムライ気質のシェフ三舟が 妙にかぶって見えるのが楽しかった。 鰹節まるごと1本持ってのフランス修行。さすが!サムライ三舟。 前作に比べると少し料理の場面が少なかったのが残念だが いろいろな登場人物や三舟シェフの謎の修行時代などが垣間見えて この先ももっともっと構成を広げていける予感がして楽しみになった。 『あの人は大事なことは間違えない人だからね』 この信頼感が心地よい。

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